日常健康チェック

ぼけも生活習慣病

ぼけとは? その特徴や傾向は?

高齢者社会に伴い老年者が増え、これに伴い痴呆が右肩上がりに増加しているといわれます。
痴呆の原因は脳の老化と関係が深い。脳や臓器の老化の特徴は人生50年から80年となり、平均寿命が20年以上も長くなったことが原因といわれます。20世紀最大の社会問題といわれています。
痴呆のタイプは大きく分けて二つあり、一つは脳血管障害が原因の脳血管性痴呆、もうひとつはアルツハイマー型痴呆です。日本人では脳血管性痴呆が過半数を占め、アルツハイマー型が30%前後、残りは両者が複合したものです。
この割合は欧米先進国のちょうど反対になっています。日本人は脳内の動脈硬化がより顕著であるのに対し、欧米人では、脳の外にあるけい動脈の動脈硬化がより顕著で脳内の動脈硬化が軽度であるためといわれます。
これは食生活の違いよるもので、欧米人は高脂肪食が多いためけい動脈の硬化が顕著で、日本人も最近は肉食が増えてきた結果、けい動脈硬化の顕著な例が増加しつつあります。

痴呆の予防はできるのですか?

痴呆の原因は脳の老化と関係が深い。脳や臓器の老化の特徴は

  1. 老化は非可逆的である。(元に戻らない)
  2. 個体差がある。
  3. 同一個人でも臓器によって差がある。  ということです。

非可逆的であることから、予防以外に方法がないといえます。また個体差があるということは節制や努力により老化を防ぐ、あるいは遅くすることができることを意味しています。

脳の老化を防ぐには?

頭の使い方が大事です。脳は外部から見る、聞く、感ずるなどのインプットした情報を考慮して反応・表現行動等をする臓器です。
インプットは容易ですが、たとえばテレビドラマを見て、これを批判する、感想を述べるなどのアウトプットは面倒くさく、おっくうなことです。しかしこのアウトプットが脳の老化をふせぐのに役立つのです。自分の考えや意見をまとめることに頭を使うことが老化を予防に役立つのです。

痴呆が出にくい人は、どんな人たちでしょう。

ある老人ホームでは 俳句や短歌の趣味を持った人、ものを書く人にぼけが少ない。また表現に頭を使う画家、彫刻家、作家、演奏家などにぼけが少ない。またいろいろな情報をまとめることに頭を使うことの多い政治家にもぼけが少ないのです。
気軽にできることは、周りを見て反応する。たとえば電車の中で老年者や体の不自由な人が乗って来たなどを見て、席をゆずることで脳の老化を防ぐと共に、世の中を明るくするという、まさに一石二鳥といえます。また日記をつけることも手軽なアウトプットです。

とどのつまりはぼけも生活習慣を変えることです。

たべもの、気配りのある態度、習慣を早くから行うことにより脳の老化をできるだけ遅くするという方法を実行することにつきます。

(毎日新聞 企画特集 痴呆と予防を考えるより  平成13年6月20日)

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