日常健康チェック
胃と十二指腸の話
胃炎はどうして起るの?
胃や十二指腸の内部は本来非常に丈夫な臓器の一部で、そこに含まれる酸や消化酵素によって傷ついたり、消化されない非常に強い抵抗性を持っています。 それほど強い胃の内面を覆う粘膜でも、内・外因性の種々の要因により刺激を受け、炎症を起すことがあります。 その要因のいくつかをあげると、
細菌性胃炎:
一般に、ヘリコバクター・ピロリが胃粘膜の粘液分泌細胞の中で増殖することにより炎症を起す。
急性ストレス胃炎:突発性の重症疾患や障害で起り、胃炎の中でももっとも重症といわれる。この障害は胃に生じたものとは限らない。
慢性びらん性胃炎:
薬剤、特にアスピリンや他の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDという)等の刺激物や細菌やウィルスの感染が原因となる。
萎縮性胃炎:
通常高齢者に多い。胃の一部が除去された人にも多いとされる。
等があります。
消化性潰瘍はどうして起るの?
胃または十二指腸の粘膜が、胃液中の塩酸によって活性化されたペプシンによって自己消化され、胃、十二指腸の壁組織が欠損した状態を言います。この状態が胃で起った場合を胃潰瘍、十二指腸で起れば十二指腸潰瘍です。胃酸は殆どの人の胃で産生されますが、そのうち潰瘍を起すのは10人に1人にすぎないといわれています。胃・十二指腸潰瘍の成因は胃炎と同様なことが考えられます。ヘリコバクターピロリ菌の繁殖や薬剤(アスピリン、非ステロイド性抗炎症薬、ステロイドなど)や精神的な苦痛が長く続く等が考えられ、起った症状が胃穿孔、激痛など胃炎より重症であるということがいえます。
予防するには?
現在は強力な抗潰瘍剤があるとはいえ、日常生活上、規則正しい食生活を守り、喫煙・暴飲暴食を避けること。刺激の強い食物は避け、ストレスを避けることに心がけることが大事です。更に再発防止のためにもこれらのことは忘れてはならない事です。
治療はどうするの?
制酸剤:
胃・十二指腸潰瘍の治療は、まず胃の酸性度を低下させることです。胃の粘膜を刺激し胃酸分泌を促進させる薬剤やニコチン、アルコールは避けましょう。制酸剤としては吸収性及び非吸収性制酸剤があります。スクラルファートは潰瘍に保護層を形成して治癒を作新させる作用があり制酸薬に変る選択肢といわれています。
H2拮抗薬:
シメチジンやラニチジン、ファモチジンなどがあります。これらは胃と十二指腸における酸や消化酵素を減らすことによって潰瘍の治癒を促進します。
オメプラゾール、ランソプラゾール:
胃で酸を作るために、必要な酵素の産生を抑制する強力な薬剤です。これらの薬剤は酸分泌を完全に抑制出来、その効果は長期持続します。ヘリコバクター・ピロリ菌が胃壁から証明され潰瘍の原因と考えられる場合は1種類または複数の抗生物質と強力に酸の分泌を抑える抗潰瘍剤が使われます。
外科手術:
最近は薬物療法の有効性が非常に高まって、潰瘍に対する外科手術はめったに必要でなくなりました。外科手術が行われるのは主に、穿孔などの胃潰瘍や薬物療法に反応しない閉塞症、癌の疑いのある胃潰瘍、重症かつ頻繁に再発する胃潰瘍などです。
H2拮抗薬やオメプラゾールなど酸の分泌を抑制する薬剤や、消化酵素の働きを抑える薬剤は服用に関しての大事な注意事項があります。
服用にあたって薬剤師、医師の指示をしっかり守りましょう。