日常健康チェック
高脂血症の話
高脂血症とは?
高脂血症とは、血中のコレステロール値やトリグリセライド(中性脂肪)値が高い状態をいいます。 空腹状態でこれらを測定して血清コレステロール値が220mg/dl以上、トリグリセライド値が150mg/dl以上の両方を満たすか、または一方が高い場合を高脂血症と定義されています。
コレステロールとは?
コレステロールは脂肪の一種です。人間の体内にはトリグリセライド、リン脂質、遊離脂肪酸、そしてコレステロールの4種類の脂肪があって、それぞれ重要な働きをしています。
コレステロールの主な働きは
- 細胞膜や生体膜を作る。
- 副腎皮質ホルモンや性ホルモンといったホルモンの材料となる。
- 消化吸収を助ける胆汁酸の材料になる、といった大切な役割りがあります。 少なすぎてもこれらの役割を十分果せません。
どうして高くなる?
血液中のコレステロール値が高くなると、高脂血症になります。その原因は様々ですが、大きく分けると5つのことが考えられます。
- 食物からのコレステロールの過剰摂取
- 肝臓でのコレステロール合成亢進
- コレステロールを代謝する受容体の異常
- コレステロールを代謝する酵素の異常
- 小腸からのコレステロール再吸収の増加
☆ コレステロールは何故たまる?
血管にたまるコレステロールを、悪玉コレステロールという言い方をしたことがありましたが、最近、血管にコレステロールをためる真犯人は、フリーラジカルという化学物質によって酸化されたLDLであることがわかりました。
《ここでひとやすみ》
LDLの酸化を防ぐ赤ワイン
フランス人は肉などからの脂肪の摂取が非常に多いにかかわらず、冠動脈による死亡率が低く、「フレンチパラドックス」といわれています。これは、フランスでは赤ワインが日常的に飲まれていることと関係あるようです。赤ワインには抗酸化作用のある物質(ポリフェノール)が豊富に含まれ、これがLDLの酸化を防いでいると考えられています。一時日本でも「赤ワイン」ブームで騒がれたのはご存知のとおりです。
ほっておくとどうなる?
前段落の1〜5が重なり合って余分なコレステロールは次第に血管壁にたまっていく事になり、動脈硬化が進展していきます。このような状態では、血管がかたく、もろくなって血液が十分流れなくなっています。
動脈硬化は主に脳、心臓、末梢などの太い動脈などに見られ、脳血管障害、虚血性心疾患、末梢血管障害など循環器障害の原因となります。
動脈硬化の三大リスクファクター(危険因子)として、高血圧、高脂血症、喫煙が知られています。最近では、食生活の欧米化や都市型ライフスタイルの普及などによって、肥満、ストレス、耐糖能異常なども加わり高脂血症は注目を集める生活習慣病といわれています。
治療の方法は?
高脂血症治療の最終目標は、動脈硬化の発症を予防し、心筋梗塞などの虚血性心疾患の発症を抑えることにあります。高脂血症の治療は食事療法、運動療法、生活の改善、および薬物療法の4つが基本となります。
まず食事療法などの非薬物療法を行い、3~6カ月程度様子をみて効果が現れない場合に始めて薬物療法を試みます。
どんなくすりがあるの?
食事療法、運動療法などの一般療法を基本とします。3~6カ月を経ても治療目標値に到達しない場合に薬物療法を行います。
☆ 治療薬の分類
LDL-コレステロールを低下させるくすり
LDLの変性(酸化)を抑制するくすりなど治療薬にもさまざまなタイプがありますが、食事、運動療法が基本であることに変りありません。