日常健康チェック
アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎とは?
体外から進入する花粉やダニ・ハウスダストはアレルゲン(抗原)と呼ばれ生体内の抗体(生体の防御因子)がこのアレルゲンを異物侵入と認識し、鼻の粘膜で抗原・抗体反応(アレルギー反応)を引き起こし、その際ヒスタミンなどの物質が放出され、その刺激で起こる症状を「アレルギー症状」といます。
「アレルギー性鼻炎」とは、鼻で吸い込んだ様々な花の花粉やダニ・ハウスダストなどによって引き起こされる鼻粘膜のアレルギー性疾患で、鼻水、くしゃみ、鼻づまりを発作的に連発し、これらの症状を「アレルギー性鼻炎の3大症状」と呼びます。
鼻水、くしゃみ等は異物を体外に排出しようとする生体防御反応のひとつです。 同様に眼に入ったアレルゲンもアレルギー反応を引き起こし、涙、眼のかゆみなどの症状を引き起こします。(アレルギー性結膜炎)
生体の防御反応は、起こり方には「個体差」があり、非常に敏感な人から、何の反応も示さない人もいます。通年性、季節性の二つのタイプがあり、季節型は花粉症が大半です。なかでも、春先の「スギ花粉」によるアレルギー性鼻炎は季節性の代表格です。 スギ以外にもいろいろな花粉が原因となります。そして原因となる花の咲く時期・咲き具合により、飛散量も変化し花粉症を発症する方は当然上下します。(ヒノキ、イネ科、シラカバ、ヨモギ、ブタクサ、アワダチソウなどの花粉) 通常、花粉性タイプの季節性の方が、通年型より症状が強いといわれます。
花粉症はなぜ増えた?
20年ほど前まではあまり話題にもならなかった花粉症は、今や10人に1人といわれるほど知られた疾患です。
第二次大戦後、失われた森林資源回復のため北海道を除く各地にスギが植林された。樹齢30年以上になり成長したスギは大量の花粉をばら撒くようになりました。また、郊外の休耕田や都会の空き地、高速道路の中央分離帯のイネ科植物や外来のアワダチソウなどが撒き散らす花粉が、住宅地にまで飛んでくるようになり、さらに食べ物が西洋化して、肉、卵、牛乳などのたんぱく質が多い食物を摂るようになり、抗体を造りやすい体になりました。
ストレスによるバランスの乱れや、大気汚染が進み鼻の粘膜が痛み、アレルギーを起こしやすくなった、などいろんな要因が重なり合って、花粉症になりやすい体を作ってきたといえます。
花粉症の対策
花粉症の最も多いのはスギ花粉によるものです。そのうち約60%の方はヒノキ花粉にもアレルギー反応を起こすといわれます。 スギ花粉は約2ヶ月間は飛散しますが、その時期に重なるようにヒノキ、ケヤキ、カモガヤ、ブタクサ、ヨモギ、アワダチソウ、カナムクラなどの花粉が飛散しつづけます。まずどの花粉が自分のアレルギーの原因か突き止めることが大事です。 原因である花粉が飛散する時期に転地療養するのはもっとも最良ですが、経済的負担が加わります。
スギ花粉飛散状況についての情報は毎年1月末ごろより毎日、新聞、テレビなどで報道されます。飛散状況を把握したり、あるいは風が強く、空気が乾燥し、しかも雨上がりの翌日の良い天気の日には、花粉が多く飛散しますので、このような日は
- なるべく外出は控える。
- やむを得ず外出するときは「花粉よけメガネ」「マスク」「帽子」を着用する。
- 帰宅時は家に入ってすぐに服や髪についた花粉を落とし、うがい、洗顔をする。
- 出来るだけ窓を閉め、花粉やホコリを家の中に入れない。よく室内を清掃する。
- 外に干した洗濯物、布団は取り込む前に花粉をよく落としてから。
- 散歩に連れて行ったペットについた花粉やホコリに注意。
さらに何事につけても同様に、普段から体に抵抗力をつけるよう、正しい生活習慣をつけましょう。
- 風邪を引かない
- バランスのとれた食生活
- 十分な睡眠
- ストレスや過労を避ける
- 日ごろから皮膚の鍛錬、適度なスポーツ
- ハウスダストによる場合は、ダニの駆除、減量に努力する
治療にはどんな方法があるの?
もっとも根本的な治療は、アレルゲンの除去、回避です。次に薬物療法で適応により特異的免疫療法(減感作)、手術療法(ブロック等)があります。
薬物療法では、抗原と抗体による複雑な疾患を根本より治す薬剤はまだありません。従って花粉症の治療は対症的な「アレルギー症状を抑える薬剤」治療が中心になります。
薬物療法として
<抗ヒスタミン剤>
即効性があるので、病状の始まりの「ひどいくしゃみ、鼻水、鼻づまり」に効きます。ただし、この種の薬は「眠気」を催す薬が多いようです。
<抗アレルギー剤>
この薬は抗ヒスタミン剤と同じく「くしゃみ、鼻水、鼻づまり」に効きます。 眠気は少ないので、自動車運転や危険な機械操作にかかわる職業の人にも使用されます。しかし効果が現れるまで、1~2週間を要するが、花粉の飛散前から服用すれば非常な有用な薬です。
<ステロイド点鼻薬>
鼻粘膜の浮腫を抑え、くしゃみ、鼻水、鼻づまりに優れた速効効果を示します。抗アレルギー剤と併用することが多い。鼻内の局所に使用するので、ステロイドホルモンとはいえ、副作用の心配はあまりありません。
<抗アレルギー剤の点鼻薬>
症状が比較的軽微な人、内服抗アレルギー剤で眠気の出る方等に使われます。
<血管収縮点鼻薬>
血管を収縮させ鼻づまりをなくします。しかし長期間の連用はかえって慢性的な鼻づまりを起こすことがありますので急性期短期間使われます。
薬物療法の適応の方は、くすりを長期使用しますので服用の際は、医師・薬剤師の指導を十分守って下さい。
花粉を避けるための、マスクなどの防具や飛散時期、予防法などについて、薬局・薬店でご相談ください。